12Jun
あれから二週間がたった。恐れていた「あれ」は起きていない。
いや、正確にいえば、起きそうになるのだが起きる直前で止めることができるようになった。何回か止められるようになると自信がつき、対処可能と思えると恐れもなくなる。
桂の生活は変わらず忙しかった。だが慣れた忙しさで、心は平安を保てていた。
翔太は夏休みに入り朝から晩まで部活漬けだ。自分や夫の修二も仕事があるし、いつもと何ひとつ変わらない、今まで繰り返してきた日常がまた繰り返されているのだ。
桂は満足していた。忙しければ余計なことを考えずにすむし、「あれ」も起きない。
「あれ」を完全にコントロールできるようになったら、起こらなくなるようにコントロールすることもできるかもしれない。そうしたら今までどおりでいられる。家庭を守り仕事をし、普通に歳を重ねていけるのだ。
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