宇宙系チャネラー ☆ルカ☆

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第一章 記憶の始まり10

 スケッチブックの真ん中に「意識の変容」と書いてあり、丸で囲ってあった。
それを中心にたくさんの線が放射状に伸び、線の先にキーワードが書いてある。そしてそれらのキーワードから更に線が出てまたキーワードが続いていく。
「高木さんと初めてセッションしたときの記録ですが」と、裕美は説明を始めた。
「通常のセッションと違い、高木さんは変成意識に入りました。そしてまるで別人のように話しはじめたんです」
「篠崎さんはわかってると思うけど…退行催眠で変成意識に入り、喋りだすことはあまり例がないの」
新庄が口を挟み、篠崎と高木を交互にみた。
「通常は、ご自身の気になることに関連した過去世などを見に行くので。」
「そうですね」裕美が新庄に相づちを打った。
「私の今までのクライアントさんの中では、変性意識に入った方、というのはいらっしゃいませんでした」
裕美は桂をちらりと見た。桂はなんだか居心地が悪いような気がしてきた。変性意識というものに入るのに、別に入ろうとしてそうなったわけではないからだ。
「そのときに高木さんが話した内容はとても理性的で愛にあふれてて…そして、私たちが今後何を指針にすべきかを教えてくれるものでした。」
篠崎はじっとスケッチブックを見ている。ひとつひとつ、じっくりと内容を確認しているようだった。
「私は、この内容はあまりにも素晴しすぎる、でも…どうすればいいのかわからなかったんです。この内容を誰かに知らせたい、シェアしたいと思ったけれど、クライアントさんとのセッションで出てきた内容を勝手にシェアするわけにはいかないので」
そういうと、裕美はすまなそうに桂を見た。
「高木さん、本当に申し訳ありませんでした」
「いえ…」桂は言うと、残りのアイスティーを飲んだ。
「それで、先輩の真由美さんに相談したら、篠崎さんの話を伺ったんです」
そういうと、裕美は篠崎を真直ぐに見て聞いた。
「篠崎さんはこのスケッチブックに書かれている内容、ご存知なんですよね?ご自身もチャネリング状態でこの内容と同じようなことを言っていた、と真由美さんに伺ったんですが」
「…そうですね」篠崎は、スケッチブックから目を上げていった。
「確かに、僕がレムリアンシードからダウンロードした内容と酷似しています」
桂は密かに思った。レムリアンシードって何?ダウンロードって…どこかにこの情報がある、ということ?
「高木さん」真由美が言った。
「レムリアンシードというのは、クリスタルの名称のひとつです。」そう言うと,バッグの中から透明で長細く先が尖っている石を取り出した。
「これはレムリア時代の叡智が入っている、と言われている石です。ここに線が入っているのをバーコード、と読んで、このバーコードから情報をもらうことをダウンロード、と言っています」
桂はその石を手に取った。見かけよりも重く、ずしりとした。大きさは両手で受けとった状態で、手からはみ出るくらいだ。バーコード、と説明を受けた部分を指でなぞってみる。透明な面から内側には、光の加減で小さな虹がたくさん見えた。

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