2Aug
「この方とチームを組んでください。そして、より多くの方々に伝えて頂きたいのです。この方を通じて、私達はあなたがたが日常の中で何に留意すれば魂の本質に迫って行けるかをお伝えします。どうぞ、それをより多くの方々にお伝えください」
「…わかりました。チーム、ということは…ここにいる4人で、ということですか?」
「4人だけではないでしょう。おそらく、より多くの方を巻き込んで行くことになると思います。が、核となるのは今、ここにいらっしゃるあなたがたになります。しかしそれも流動的です。私達は強制することはできません。すべてあなたがたの自由意志によるのです。もしもあなたがたが、義務としてチームを組んだらこのプロジェクトは成功しないでしょう」
「それはどういう意味ですか?」
「お一人お一人が心の底から「手伝いたい」「広めたい」という意思を持って行動したときに、道が現れるのです。「こういわれたから仕方がない」というお気持ちで手伝われると、そのような波動が何に対しても出てしまい、「仕方がない」と思ってしまうような状況を引き寄せます。ですから、私達は、あなたがたが純粋にこのプロジェクトを面白い、人生が変わる、楽しい、と思えるようになったら手伝って頂きたいのです」
「…しかし、高木さんは、一番重要な存在であるはずの高木さんが現在の状況に対して不安を持っています。彼女は今、この状態では「楽しむ」ということができないのでは…と思うのですが」
「そうですね。この方は、「うわべの幸せ」を失うことを怖れています」
うわべの幸せ?自分の口から出た言葉だというのに、桂はどういう意味かわからなかった。私は今幸せなのに…どれが上辺だけの幸せだといいたいの?
「魂の道を進むことに対して、いばらの道を想像する方があまりに多すぎます。それは権力者によるコントロールである、と私達は断言しましょう。魂の道を進むことは心から楽しく、うきうきわくわくすることなのです」
「では、高木さんを魂の道に対して心を開いてもらうところから始めないといけない…ということですね」
「そうです。魂の道を歩くとき、今まで慣れ親しんだ世界とは全く違う世界になることも多々あります。しかし、魂はそれに対して歓喜を感じているのです。それを正しく知ること…アンテナを磨くことが必要です」
「その為に、私達に何ができますか?」
「あなたがたの経験から、魂の道を歩むことの意味をこの方に教えて差し上げてください」
自分の中にある違う意識が話す内容に、桂は恐れを感じた。魂の道を歩くときに全く違う世界になる?それでは夫は?最愛の息子はどうなるのだろう?今mでのキャリアは?
それまで大事にしてきたもの全てと離れることになるのだろうか?それで喜びを感じるなんて、私には到底できない。無理だ。
なぜなら今までのままでいいから…一児の母として、貞淑な妻として、一社会人として…ささやかながら愛のある生活を送ってきたのだ。毎日の中に小さな幸せをやりがいを見つけ、こつこつと地味に日々を重ね、キャリアを重ね…それらの日々から切り離される?
そんなことは桂にとっては地獄だった。魂の道を歩む喜びなど、感じようもなかった。今ある幸せを手放すくらいなら、魂の道など無視しても構わない…頭の奥のほうで、「今」を生きている桂はそう思った。しかし、もう1人の、シリウスにいる桂はそうではなかったようだ。
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